フードロス削減と社会的支援を目指す「ツナグパン」

神戸エリアに直営8店舗を展開する老舗ベーカリーのケルンが取り組んでいるのが「ツナグパン」です。「廃棄されるパンが売れることで、環境問題や社会問題の解決に連鎖的につながるシンプルな仕組みを作りたい」という思いから始まりました。

売れ残りのパンの中で傷みにくいものを10~20個を選んでワンセットにし、製造の翌日に定価の約6割の価格で販売。購入者にはケルンの全店で使える木製の「エシカルコイン(100円コイン)」が1つプレゼントされ、さらに福祉施設を介して同額のコインが支援対象者にも贈られるというシステムです。

始まった2021年12月から2022年12月までの1年間の販売数は7894袋。エシカルコイン寄贈合計額は78万9400円。パンの廃棄量は11%から2%まで減少したといいます。ホームページには毎月の「ツナグパン」の販売報告も掲載されており、このあとも支援額は着実に積み上がっています。

「ツナグパン」は支援する側も受ける側もエシカルコインを利用します。誰が支援者で誰が受ける側かわからないところも工夫されている点です。また支援を受ける側が店に行って自分で商品を選ぶことができるのも大事なポイントです。

2023年3月24日には、SDGsの達成に向けて貢献した団体または個人に贈る、神戸市の表彰制度「令和4年度 神戸SDGs表彰」において、奨励賞も受賞しました。つないでいきたい「ツナグパン」です。